「まんぷく」つまり萬平と福子の夫婦がインスタントラーメン製造成功に至るまでの苦労話を中心に描かれます。
史実だとチキンラーメンが発売されたのは1958年、太平洋戦争を挟んで30年ほどのストーリーです。舞台は戦前の大阪、主人公は福子といい、三人姉妹の末っ子です。安藤サクラ演じる福子は、18歳。
朝ドラのヒロインは子役の少女時代から登場するケースが多いので、大人の姿でスタートなのは久しぶりです。第一週では、福子の長姉が結婚式を迎えるため、福子が何かプレゼントをと考え、幻灯を企画し、依頼するのが未来の夫・立花萬平です。
実は電話交換手の仕事で福子と萬平は「声」だけ先に出会っていました。それを知らずに、萬平は福子の笑顔に一目ぼれしています。
萬平と福子役の安藤サクラと長谷川博己はどちらも演技力に定評のある役者です。力強い、朝からエネルギーを分けてもらえるような、ドラマになりそうな期待が持てます。
登場人物
安藤サクラ…今井福子(ヒロイン)元気いっぱいで、食べることに幸せを感じる新米キャリアガールです。英語が得意、不細工と自覚していますが、笑顔は美人で魅力的です。安藤サクラといえば、ストイックな演技や逆境にめげない役柄を演じることが多い印象がありますが、幸せいっぱいな福子役もよく似合っています。朝ドラのヒロインとしては若手とはいいがたいですが、18歳役でもあまり違和感はありません。今後戦争体験、出産、貧困の場面が出てきたときには、演技の底力が感じられると、楽しみにしています。
松下奈緒…香田克子(福子の次姉)
さっさと旦那様を見つけ、子持ちになってしまい、母親に評判の悪い次姉です。ポンポン言いたいことをいう姿が逆に好印象です。要潤…香田忠彦(克子の夫)売れない画家ですが、克子を大事にしている姿、誉め言葉を惜しまない姿勢は素敵です。大谷亮平…小野塚真一(咲の婚約者)「冷たい感じ」と福子の母親に言われますが逆で、咲へのいたわりと愛情は真剣、エリートらしからぬ腰の低さです。
内田有紀…今井咲(福子の長姉)
年齢を感じさせないおっとりとして頼りになる長姉役がはまり役です。宝飾店店員というのがうなずげる素敵な立ち振る舞いです。
松坂慶子…今井鈴(福子の母)
「寂しいから結婚反対」という身勝手さと、暗闇で缶詰にかぶりつくコミカルさが、演技力のおかげで憎めないキャラクターです。
長谷川博己…立花萬平(のちヒロインの夫)
営業のため下手な大阪弁を駆使しようとする技術畑の男。現時点では商売は苦手のようで、幻灯機も無料で提供してしまいました。福子の笑顔に一目ぼれした感じがさわやかです。いつ結婚に至るのか、楽しみです。
主題歌「あなたとトゥラッタッタ♪」DREAMSCOMETRUE作・歌、大阪桐蔭高等学校吹奏楽部・演奏
朝ドラにふさわしい元気の出る歌です。CGを使わない、ヒロイン福子(安藤サクラ)がズンズン様々な自然の中を歩いていく映像とマッチしています。マーチ風の曲想は、激動の昭和前半、特に太平洋戦争後の目覚ましい日本の復興と躍進を示唆しているかのようです。
この曲は、ドリカムにとっては2014年3月以来、4年8ヶ月ぶりのシングル「あなたとトゥラッタッタ♪/THEWAYIDREAM」に収録される予定です。「あなたとトゥラッタッタ♪」はドリカムの曲にしてはあまり派手なサビなどがなく、演奏がブラスバンドだということもあり、違和感を持つ人もいるようです。
でも何度も聞くとつい口ずさみたくなるような不思議な魅力があります。
飾り立てない雰囲気の歌声が、安藤サクラの「演技で勝負」という女優としての信念とも見合っている気がします。
吉田美和と安藤サクラの方向性が似ているせいかもしれませんね。